*Only Princess*





どうしよう、どうすればいいんだろう?



「あっ、そうだ。救急車っ……!」



震える手でスマホを取り出そうとしたとき、「救急車はもう呼んだよ!」と、近くにいたおばさんが。


「ありがとうございます!」と頭を下げたあと、再びタカトに目を向けた。



「タカト……タカト……大丈夫!? 痛む!?」


「くっ……大丈夫だから、揺らすな……響く」


「ご、ごめん」



思わずタカトの体を揺らしていて、それを指摘され慌てて手を離す。


あたしが相当青い顔をしていたからだろう。


あたしの顔色を見たタカトは、少しだけ顔の表情を緩めた。



「俺は大丈夫だから……そんな心配すんな……」



……普通、責めるでしょ。

責めてよ。


なんでそんな優しい言葉を、あたしを庇うようなことを言うの?


逆に、自分のしてしまったことを実感させられるよ。



「タカト……」



あたしが名前を呟いたとき、ピーポーピーポー……と救急車がやって来る音が聞こえた。