*Only Princess*




え、朱雀……?

朱雀って確かこの前てったが言っていた、この地域を支配する暴走族だっけ。


そ、それじゃ、このナルシストたちが朱雀だって言うの?


待って、あたしってば知らない間に朱雀と接触してたの?


でも白鷹と朱雀は敵対してるわけじゃないって言ってたのに、この空気は何……?


不穏な雲が薄暗い空を覆い、さらに暗くなる。


空気が冷たく、寒さに覆われそうだった。


重苦しい空気が流れる中、あたしがナルシストと呼ぶやつが口を開いた。



「……そうだな。お前らがここに来ることを知ってて、わざわざ来た理由はただ一つだ」



そう言って白鷹に近づいてくる。


……いや、違う。

”あたしに向かって”、だ。


てったたちをすり抜けて、あたしの前に立つナルシスト。


そして顎をくいっと上げられ、至近距離で目を合わせることとなった。


そして……。