ペンギンの行進を見てる余裕なんてなかった。
「菜生……」
名前を呼ばれただけで、ドキドキしちゃう。
恋って魔法みたい。
合った目が逸らせないでいると、てったが何かを言おうと口を開いた。
そのとき。
「あっ、菜生さんとてったさんだ! 2人もペンギンの行進見てたんすね〜」
「おい、バカヤロー!」
「なに邪魔してんだ!……すんません! 思う存分イチャイチャしてください!」
話しかけてきた下っ端の子の頭を他の2人が叩き、すんごい勢いで去っていった。
……え、なに今の。
はずっ! 見られた!
しかも”思う存分イチャイチャしてください!”って……もう!
真幸たちにバラされたら、からかわれるに決まってる!
「こ、こらー! 待てーっ!!」
去っていった下っ端たちを口止めすべく、追いかける。
当然下っ端たちは逃げるから、追いかけっこする形となった。
うぅ……なんかいい雰囲気になったと思ったのに、いつものあたしに逆戻りだよ〜……。
チラッとてったを見てみると、呆れたように、でも楽しそうに笑っていた。
その笑顔に、キュンとしてしまうあたしがいた。
