琉依は苦笑をしながら言葉を続けた。
「かなりのバカだよね、航平も。俺のために、一緒に逃げ出しちゃうなんて」
「それだけ、航平も琉依のことが大好きで、大切なんだよ」
「……うん、わかってるよ。痛いくらいに」
琉依と航平は、あたしとてったの関係に似ているところがある。
あたしたちは2人みたいにずっと一緒にいたわけではないけど、お互いのことを大切に想っている。
手を取り合い、心を通わせ。
そしてときに、自分より優先させて。
何かを隠して必死に守ろうとする。
周りの人とは違う、特別なもので結ばれている。
そんな関係。
近い境遇なんだ、きっと。
「俺、今までにも何回も考えたことあるんだ。こんな俺が白鷹の総長をやってていいのかなって」
「え……そんなの、いいに決まってるじゃん!」
「だって俺、航平みたいにしっかりしてないし、真幸みたいに周りを明るくできない。司みたいに冷静に判断できないし、てったみたいに強くない。
逃げてばかりで、誰かの支えなしじゃ生きていけない、弱くて意気地無し……」
「なに、それ……なにそれ!!」
大きな声で、琉依の言葉をさえぎったと同時にイスから立ち上がった。
