*Only Princess*





あたしは琉依の隣のイスに腰掛け、ふぅーっと息を吐いた。


流れる沈黙。


琉依を探すみんなの声と虫の音だけが、響いていた。


……何を聞いて、何を言えばいいのかな?


父親との関係?

いやいや、思いっきり地雷じゃん。


航平との関係?

いやいや、今関係ないじゃん。


うーん、どうすればいいのやら……。


頭を抱えていると、琉依のほうから話を切り出してきた。



「……俺さ、ずっと逃げてきたんだ。家からも、父さんからも」



琉依から、話してくれるんだ……。


だったらあたしは、真剣に聞かなきゃいけないよね。


思いつめた表情で俯き、ポツポツと話す琉依の横顔を見つめた。