「やっぱり、てったの後ろが1番落ち着く!」
えへ、と笑いながらてったの腰に手を回した。
でも、なかなか出発しない。
「どうかしたの? てった」
「っ……こっち見んな」
「うぎゃっ」
不思議に思い、後ろからてったの顔を覗き込めば、手で顔を押さえつけられた。
そのせいで視界が遮られる。
「もー、なにすん……」
手を引き剥がそうと、てったの手を掴んで少しずらしたら、指の隙間から見えてしまった。
てったの赤くなった耳が。
昔から、てったは照れると耳が赤くなるくせがあった。
てことは、今も……。
やだ、なんかあたしまで照れてきちゃったじゃん。
「ほらー、お2人さん。イチャついてないで、早く出発するぞー」
「イチャついてねーよ」
茶化す真幸に素っ気なく返すてった。
もう、てったの耳は赤くなかった。
