*Only Princess*





走っている間、美紗は手を振りほどかないでいてくれた。


10分ほど走って、着いた目的地。



「ここ……」


「うん、あたしたちの中学校」



あたしたちが出会った、中学校。


たくさんの思い出が詰まったところ。


当たり前だけど全ての電気が消されていて、少しばかり怖い雰囲気が漂っていた。



「前にさ、夜の学校に忍び込んだときあったよね」


「あ、うん。あったね」


「今日も忍び込んじゃおっ」


「え、えぇぇ〜……さすがにまずいんじゃ」


「いけるいける!」



再び強引に。


だけど、街灯に照らされたあたしたちの影の手は繋がっていた。


門をよじ登って、校舎に忍び込む。……って、あれ。



「鍵かかってる……」



最悪、これは想定外。



「そりゃそうだよ」


「だって、前は入れたじゃん」


「私たち、夜の学校に入ったことバレたでしょ? だからあれ以降ちゃんと鍵がかかってるって、聞いたことあるもん」


「え〜なにそれ、先言ってよ」


「言う暇がなかったんだもん」



頬を膨らませるあたし、呆れた表情をする美紗。


あれ……あたしたち、普通に話せてる?