美紗は俯いていて、あまり表情がわからなかった。
ど、どうしてここに?
もしかして、何か企んでるとか……?
美紗を疑うなんてことはしたくないけど、敵に属している限り、疑わざるを得ない。
これはどうするべきか、あたしに助けを求めるようにチラチラとあたしを見てくる下っ端くんたち。
……今、伝えるべきなのかな。
美紗への気持ち。
……うん、そうだ。
今伝えなければ、きっと言えない気がする。
でもあたしが口を開く前に、美紗が。
「あの、菜生……ちょっといい?」
心配するあっくんたちに大丈夫だと目配せして、あたしは美紗と倉庫を出た。
重々しい空気。
今まであたしたちの間にこんな空気が流れたことはなかった。
あたしたちがこんな思い詰めた表情してるなんて、似合わないよね。
「……ねえ! ちょっと行きたいとこあるんだけど」
「え?」
「ほら、行こっ」
「ちょ、ちょっと……!」
あたしは半ば強引に美紗の手を引き、駆け出した。
