「どうかしたの? てった」
「菜生、お前……ピアスどうした?」
「えっ?」
ピアスって、あれだよね。
みんなとお揃いの、鷹のピアス。
それならブレザーの左胸元につけて……って、え。
「……ない」
いつもついている場所に、その姿はない。
え、え、どーして?
なんでないの?
いつもここにつけてるのに。
ポケットに手を突っ込んでみても、ソファから立ち上がってみても、ピアスは見つからない。
「ウソ、でしょ。なんでないのっ……」
「菜生、落ち着いて。家に置いてきたっていう可能性は?」
それはない。
だって、今日の体育の授業で着替えるとき、確かにブレザーにピアスがついてるのを見たもん。
それからどこかに付け替えてもいないし。
なんでないの。
あれは、あたしの大切な宝物なのに。
そんなもの、無くすはずがない。
