「ど、どーしたの？ 急にそんなこと聞くなんて」
「……いや、別に。ただ聞いたことなかったと思って」
確かに、今も昔もお互い、恋愛話とかまったくしなかった。
だからもちろん、てったの好きな人は知らない。
というか、いないと思う。
いたらきっと、態度でわかるはずだから。
あたしの想いは一方通行だったんだ。
「……昔はね。今はいないっ」
「……ふぅーん」
てった、自分のことって気づいてる？
「どんなやつ？」
気づいてない、か。
言ったらバレちゃうじゃんか。
「……ヒミツだよ」
そんな易々と教えられない。
「そーゆーてったは、好きな人とかいないの？」
「……教えねーよ」
「えー」
人には聞いといて、なんなの。
もしかして、いるのかな？
ほら、離れてた間のことだったらあたしもわかんないし。
でもそんな余裕なかったか。
過去にいろいろあったから、ね。
じゃあ今は？
今、この学校にいるのかもしれない。
あたしが気づかないだけで。
そう思うと、なぜだか寂しいような、ちょっぴり胸が痛い。
