奈南のことは全部知ってると思っていた 俺は奈南に隠し事なんかなんもなければ、 奈南もそうだと思っていた いや、思いこませていた 口で言わなくても、 「大丈夫?」と声をかけなくても、 互いの存在こそが癒しであり、居場所であると信じて疑わなかった だけど、俺は甘かった あまりにも甘すぎたんだ 奈南の傷は、 人1人でどうにかなるような軽いもんなんかじゃなかった それに気づくのが、 遅過ぎた 「ごめんっ…ごめん、奈南っ…」 掴んだ胸倉を離すことは出来なかった