あの日の桜はⅢ【大幅修正中】

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「うわぁ、楽しみです!!」
いつも大人っぽい莉子ちゃんが少し子どもっぽく空を見上げている様子に珍しく思う反面、なんだか新しい一面を知ることができたように感じて少し嬉しくなった。

「あんまりはしゃぎすぎるとばれるぞー」

陸が莉子ちゃんの後ろから苦笑いを浮かべながら、買ってきた炭酸の缶のプルタブを開ける。
特等席、それすなわち屋上である。

教室で二人きりで花火を見ると恋が叶うなんてジンクスがあるもんだから穴場スポット、というよりそもそも文化祭期間中は一般生徒は入れないため秘密の場所のようなものである。

「本当に楽しみにしてたんですよ」

莉子ちゃんが振り返れば、風が彼女の髪をさらう。
秋の心地よい風に揺られる髪を、片手で軽く押さえながら莉子ちゃんは微笑む。