あの日の桜はⅢ【大幅修正中】

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「あれ、葵じゃん、ってそれに莉子も」

龍と紘の接客が終わった後、シフトが終了したためぶらぶらと歩いていれば二人と出会った。
二人はこちらに気づいたようで「あ!」と莉子が駆け寄ってきた。

「お疲れ様です。クラスのほうどうでした?お客さんまだ来てましたか?」

にっこりと笑う莉子に頷く。
莉子は葵と校内をまわったらしく、片手には紙袋などの荷物を持っている。

「あぁ。まあでも、もう終わりの時間だしな。それほどって感じ。そっちは楽しめたか?」

ちらりと葵にも視線をやれば「だいぶね」と笑みを浮かべていた。

「もちろんです!今一通りまわり終わってきたんです。この後あれですよね、花火上がるんですよね?」

「あ、そういえば、そーだな。あと1時間くらいか」

莉子に言われたことで後夜祭のことを思い出した。
割と行事に派手なこの学校ではいちいちクライマックスが豪華なのだ。

「そうそう、だから飲み物とか追加してから特等席に行こうかなって思って」

「陸も一緒に行きましょうよ」

そう屈託のない笑みを浮かべる莉子に「おう」と返事をして三人で飲み物の調達へと向かった。