「じゃあここで俺は今日は君が俺のお姫様だよなんて歯の浮くセリフを言えばいいわけだ?」

おっとこれは相手が一枚上手。
だてに王子様対応をマスターしてないなあなんて思う。

「葵って隙がないですよねぇ。もう何でもいいから回りましょ」

ふっと笑みを一つ落としながら文化祭のパンフレットを広げた。
言いだしたのは私だとかそんなことは関係ない。

「俺に言わせれば莉子ちゃんのほうがって話なんだけどね」

またもや苦笑しつつ、葵は私の広げたパンフレットを覗き込んだ。

「食べ物系はざっとまわりましたし、校内でやっている面白そうなものってなんでしょうね?」

「んーなんだろうね。とりあえずブースが入ってる2階ゾーンから上にあがって行ってみる?で、いいところがあれば回るって形で」

「そうですね、そうしましょう」