「ふふっ。私でよければ。でも王子様が誰かと一緒に回ってていいんですか?また捕まえられちゃいますよ」

まだ見に行っていないところを見ようと校内へと歩き出しながらそう茶化す。
実際のところはこの現場を見られて厄介ごとを巻き込む可能性があるのは私のほうだけれど。

でもあれである。
そろそろ誰かのことを気にして自分が楽しめないというのも癪なのだ。

オリエンテーションの劇の時に千景にも言われた”信頼してないってことでしょ”がよみがえってくる。

あの時はああやって警戒心からだろうなんて思ったけれど、言質は取ってある。
あれから一緒に過ごす中で、今までよりさらにみんなのことを知った。

だったら、あの言葉を”何かあったら助けてやる”に勝手に解釈したって構わないだろうと傲慢に生きることにした。

だったら、私が文化祭で誰と回ろうが、何をしようが勝手でしょなんて強気にまで思えてしまうのだ。
もちろん、驕りはよくないけど。