それだけ言うと、相手は通話を切った。

ベッドに戻る前にもう少しだけ星を眺めてみる。

そして自嘲気味に笑う。


「あいつも残酷なことをさせるなあ」

どうして自分だったのか。
そんなことを思ったって仕方がない。

ある意味、これでよかったのかもしれない。
だが。


払拭しきれない複雑な思いに一つ、息を吐き出した。

「月が綺麗ですね、の一言くらい言ったらよかったかな」

そして、もう一度息を吐き出した。