「そう、ですか」 「うん、そう」 聞いたのはこちら側だというのに何もいい言葉が出てこなかった。 それは誰なのとか、どういう人なのとか。 きっと言い出せばキリがないほど返す言葉はあったはずなのに、そんなことは聞けなかった。 聞いてはいけない気がした。 「まぁ、そういうことだからさ劇どんなのにしよーかなって考え中なわけ」 部屋に少しだけ息苦しい空気が漂っていたのを破ったのもまた千景だった。 空気を払拭してくれたことに内心、ほっとしつつケーキの続きを口に運んだ。