「ふふっ、ありがとうございます。では、もらいに行って来ますね」

ここはあえて避けてあげようと思い、二階へと上がる。


視界の端にホッとしたような顔をする龍が目に入り、思わず笑ってしまう。

本当、わかりやすいなぁ。

そんなことを思いながら、扉に手をかけた。


「あれ、莉子じゃん」

扉を開け入るなり、珍しく本を読んでいた千景が顔を上げた。

「ケーキがあるって聞いたので」

そう言いつつ、冷蔵庫を漁れば可愛らしい箱に入ったケーキがあった。


「なるほどねぇ、俺まだ食べてないから一個は置いといてねー」


それだけ言うと千景は再び本へと視線を戻した。