あの日の桜はⅢ【大幅修正中】


大きな声に私はびくりと肩を揺らした。



葵の手から傘が落ちた。


「なんで、こんな時まで取り繕おうとするの?」


木の下と言えども雨は通す。


その雨が葵をどんどん濡らしてく。



いつか、ずぶぬれになりながら一緒に走ったことを思いだした。



私は、その質問に答えられなかった。





「なんでそんなに”泣くのをこらえるの”?」



 今度は私が目を見開く番だった。