ぱくぱくと口を動かしても、言葉が出てこない。


その間に駿介は得意げな顔でこう続けた。



「ゆみりちゃんは、どうして良一のこと好きになったの?」



そうそう。確かにそれ、俺も気になるー!


ごくり、と喉を鳴らしつつ、俺はゆみりの言葉を待った。



すると――



「……わたし、天パフェチなんです」


「…………」


「雨の日にサッカー部見てたら、良一さんの髪の毛がいつもよりくるってなってて、その普段よりもうねってる感じにドキッとしちゃって……。えへへっ」



――へい?



えへへっ、じゃねー! なんすかその理由!


まさか俺の隠れくせ毛が、こんなところで役に立つとは……。



「そうなんだ。いろいろ話してくれてありがとう、ゆみりちゃん」


「はい。なんだかスッキリしちゃいましたぁ。ありがとうございました」


「一言、足りないよ」


「良一さん、ごめんなさいっ(ペロッ)」


「よくできました。じゃあね」



駿介はぽんぽんとゆみりの頭をなでる。


目にハートマークを浮かべながら、ゆみりは「はいっ」と言って去っていった。