「えっと。あたしってさぁ、可愛いじゃん。アイドルでいうと、どっちかって言うと清純派っぽいじゃん」



そう言って、アリサはスピードを上げ、俺の前を走り始めた。


短いスカートがなびき、太ももがあらわになる。



もうすぐ、集団登校の集合場所になっていた公園につく。


昔、俺が思いっきりアリサのスカートをめくりあげた、あの場所。



キキッと彼女は自転車を止め、片足をアスファルトにつけた。


俺も反射的にブレーキをかけ、数メートル先で止まっている彼女を見つめた。



「だから、本気でしたいなぁって人ができた時に、『あたし……初めてなの』ってうるうるして伝える方が、絶対相手のことドキドキさせられそうじゃない? 燃えさせられそうじゃない?」


「…………」


「彼氏たくさんいたことあって出会いもいっぱいあるあたしが、そうそう簡単に男の子と寝ないんだよ? すごいレアな存在になれそうじゃん!」



ピヨピヨと鳥のさえずりが聞こえてくる。


いつもより鼓動が早いのは、たぶん、自転車を漕いだからじゃない。



なぜそんな結論に達するんだ!? と理解ができなかったから。


そして、得意げな顔でそう言い放つ、アリサが可愛かったから。