「いってきます」
いつも通りヘルメットをかぶり、自転車にまたがった。
すると、
「良ちゃん」とアリサの声が聞こえたため、足を止めた。
「何?」
「話したいことがあって……」
アリサは自転車のハンドルを握りながら、軽く首をかしげている。
朝日を反射する髪の毛が、ふわりと風になびく。
「お前と一緒にいるとこのぞむに見られたら俺、絶対シめられるし……」
「大丈夫だよ。別れたから」
綺麗にくるんとされた上まつ毛、
マスカラがついてるらしい厚みのある下まつ毛。
それによって隠れてはいるものの、目が少し、腫れていた。
どきっと心臓が大きく震える。

