尾家さんを見送った後、俺も仏壇の前で正座した。



――そういえば、将来のことは考えているのか?



ここに座ると親父の声が聞こえるような気がして、気が引き締まる。



親父はいい大学に入って、有名企業に就職して、エリートコースを突っ走ってきた。


家を建てて、貯蓄もして、母と祖母、そして俺をずっと養ってきた。



ちーん、と俺もりんを鳴らし、両手を合わせた。



正直、将来のことはぼんやりしたままだけど、


親父みたいに、俺もいつかは母さんとばーちゃんを支えられる大人になりたい。



そう心の中で伝えると、親父が優しげな目を向けてくれた気がした。



あ、そうそう。ついでに言っとくと。



悔しいけどお前のアドバイスは当たってたよ。


素直に気持ちを口にしたら、やっっっと俺にも彼女ができたよ。



ずっと追いかけてきた、大好きな女の子。