「…………」



アリサは唇をかみしめつつも、俺の言葉を待ってくれている。


強さを持った視線は、俺からそらされることはない。



だけど、ほんの少し、瞳がうるんでいるように見えた。



ちっ、泣くくらいなら行くなよ!


じゃねぇぇぇー! なぜこんな時にも俺は責めるような言い方しか思いつかないんだ!?



しかも――



『いっけーいけーチューしちゃえーフゥーウ!』



うぉい! こんな時にパリピ親父、出てくるんじゃねぇ!!



自分の髪の毛をもしゃもしゃして、気持ちを落ち着かせた。


いったん、息を飲み込んでから、言葉を発しようとした時。



先にアリサに沈黙を破られてしまった。



「そんなにあたしと一緒にいたいんだ」


「ムカつくけど、そうだよ」



余計な一言を添えて、本心を伝えてやった。


すると、ぬるい風に髪とスカートをなびかせたアリサは、落ち着いたトーンで言葉を続けた。



「だったら、良ちゃんはあたしのこと追いかけてくればいいんだよ、一生」