親父がいなくなってから、アリサとの関係が分からなくなった時もあった。
簡単に認められるくらいなら、手が届きそうで、届かない存在でいてほしかった。
でも本当は今までも他の変な男にアリサをとられたくなかった。
ちゃれぇ不良やひょろいイケメンやクソ大学生とか、そのほかにもいろいろ。
無意識のうちにずっと気にはしていた。
他の男なんかよりも、俺の方がアリサのことを何倍も知っているし、何倍も想っている。
『あたしが地球最後の日に一緒にいるのは、たぶん、良ちゃんだし』
俺だって同じだよ。お前だと思ってるよ。
『ねぇ、これくらい近づかれても、ドキドキしないの? キスしたくならないの?』
結構ドキドキしてたわ! そんな簡単に距離つめてくんじゃねーよ。
『良ちゃんのこと、ほっとけない』
ほっといてほしかったけど、追いかけてきてくれて嬉しかった。
お前がいなければ泣けなかった。親父がいなくなったことを受け止められなかった。
『良ちゃんがいないと、あたしがどこにもいなくなっちゃう』
そんなお前も、お前だよ。すぐ迷うとこや弱いところも俺は知ってるよ。
『知らない人ばかりのとこで、新しい生活にチャレンジしたいからだよ』
お前自身で決めたことなら応援したい。背中を押したいよ。
でもそばにいてほしい。一緒にいたい。
だめだ。思えば思うほど、抜け出せなくなる感じがする。
どんどん愛おしさが増していく。
今までのこと、ひとつ、ひとつ。いや――
楽しかったこと、ムカついたこと、面倒くさいこと、嬉しかったこと、
その他にもたくさん。
全てをひっくるめて、俺は――。

