「もっと笑ってよー」
「無理。俺写真写るの苦手」
さっき男子たちに囲まれていたアリサは、今スマホ越しだが俺だけを見つめている。
シャッター音が鳴り、アリサがスマホをさげた瞬間、
不意打ちで俺も彼女を撮ってやった。
しかし、アリサは慣れているのか一瞬で顔を作ってくる。
何気ない表情の方が俺好きなのに。
「珍しいね、良ちゃんが写真撮るの」
「……いただきます」
「あ、先食べたー。ずるーい」
「お前写真に時間かけすぎ。これがラーメンだったらとっくに麺のびてるわ」
「何言ってるの。これパフェじゃん。あ、美味しい~」
「俺、ラーメン屋で写真撮ってる女見ると腹立つんだよね。麺へのリスペクトが感じられない」
「今パフェじゃなくてラーメンの話してる良ちゃんの方がスイーツへの愛が足りてないよ!」
「想いは口に出しすぎたら安くなるじゃん」
「えーよくわかんなーい」
女子率の高い店内は居心地が悪いが、パフェに罪はない。
盛り付けの派手さに負けず、味もそれなりに美味しかったため、俺はぺろりとたいらげた。

