夕食後、アリサは俺の部屋に来て、ぼふっとベッドに腰をかけた。
ベッドを占領されたため、俺はいつも通り勉強机の椅子に座る。
「大学、地元のに行くんじゃなかったの?」
ついぶっきらぼうな聞き方になってしまう。
アリサはスマホをいじっている手を止め、俺を見上げた。
「志望大学変えた。私立でよさげなとこ。親もいいって言ったし」
「そんなに行きたい学部とかあんの?」
「うーん。社会系か国際系、かな」
「それ、地元の大学にもあるじゃん」
「まあ、そうだね」
「じゃあなんで……」
わざわざ東京まで行く必要がある?
どうせ誰かに影響されたとかそんなんじゃねーの?
そんな言葉が口から出かけたけど、くそ、責めるような言い方になるか。
あああ、全然わかんねー! どう伝えればいいんだ!?
アリサは俺をじっと見続けている。
なにが言いたいの? と大きな目が問いかけてくる。
珍しく揺らがないその瞳に、ぐっと息がつまってしまった。
「えーと。お前1人暮らしできんの?」
「できるよ。あたし家事得意な方じゃん」
「あーそっか。でも東京って危なくない? お前チャラいやつらに目つけられて、変なサークルとかに勧誘されそう」
「へぇー。心配してくれてるんだ」
割と真面目に話しているのに、アリサはぷぷっと笑いながら答えた。
そして、ぱたんとベッドに横になった。

