「あれ? 良ちゃん帰ってきてたの?」
料理中の母と、ビールをぐびぐび飲んでいる祖母を背景に、
俺を迎えてくれたのは、気まずそうな笑顔を浮かべるアリサ。
「…………」
「もしかしてさっきの話、聞いてた……?」
俺はアリサをにらみつけたまま、軽くうなずいた。
すると、
「女同士の話盗み聞きするとはいい根性してんなぁ」
「そーよ。何あんたアリサちゃんのおっぱい見つめてんのよ!!」
と母と祖母がぎゃーぎゃー言い出す。
「そっちじゃねーよ!!!」
でも、そっか。アリサのやつ、胸大きくなったんだ。
確かBカップだったはずだから(なぜか知っている)、もしかしてCになったのか?
いいじゃんCカップ! 駿介が大きすぎず小さすぎずフィット感最高って言ってたぞ。
……って、こんな時に余計なこと考えるな俺!!!
「ごめん。良ちゃんにはまだ言ってなかったね」
ぼそりと声が聞こえ、アリサの胸から顔へと視線を移動させた。(視線が行ってしまうのは男なんだから仕方ない。)
アリサは俺から目をそらし、こう続けた。
「あたし……来年、家、出ることにした」

