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「俺、本気で良一のこと心配なってきた。いつでも女の子紹介するのに」
「ほら、コイツってアリサ様という美しすぎるニシキゴイが近くにいるから、他の女子なんてグッピーにしか見えないんだよどうせ」
「良一、グッピーにはグッピーの可愛さがあるんだぞ」
「ほらほらーあの窓際の女子たちなんて、水槽にはりついたタニシにしか見えないんでしょ」
「うるせぇー! お前らクラス変わっても絡みにくんな!」
2年になり、俺は大学進学クラスを選択した。
一応は俺も地元の国立を目指せるレベルにいるらしい。
ユージと駿介とはクラスが離れたが、なんだかんだ言ってよくつるんでいる。
ちなみに駿介がくると、キャーキャーと女子の目線が集まってきて微妙にウザい。
「でもさーお前、アリサ様がいるのにバイト先の後輩にも手出してるんだべ?」
「は? 出してねーよ!」
実はこの前、バイト先の新人女子から告白されたが、やんわり断っておいた。
初めてのバイトで不安な中、仕事を教えてくれる先輩に憧れる気持ちは俺も分かるし。
好きと言われて嬉しかったが、この気持ちは『恋』とは違うと思った。
アリサといる時に感じる、胸の苦しみが込み上げてはこなかった。

