アリサは俺より1年早く、高3――受験生になった。
地元の国立大学の人気学部を志望しているらしい。
成績的には余裕とのこと。しれっと頭がいいのがムカつく。
「じゃあこの髪型はどう? 似合ってる?」
「あーはいはい似合ってる似合ってるかわいいかわいい」
いつぞやのクソ大学生と別れて以来、彼氏はできていない。
告白されたり、ナンパされたり、相変わらずモテるらしいのに。
「投げやりすぎー。ちゃんと目合わせて言ってよ」
「いいから早く学校行けよ!」
――じゃあ、あたしが良ちゃんの彼女になってあげよっか?
冗談っぽく放たれた、あの言葉は本気だったのだろうか。
10年以上も近くにいて、いろんなことを乗り越えて、お互いのことをよく知っていて。
彼女との関係は、冗談やノリのままに変えてはいけないものだと思っているから、マジレスしてしまったけど。
ただ、今のままでいいと思う反面、
無性に、この関係を壊したくもなる。
アリサといると胸が高まる瞬間が、明らかに増えたから。
でも、どうにもできないまま日々は過ぎていく。
今となっては、
『幼なじみ』なんて都合のいい言葉は嫌いだ。

