とれかけパーマがミックスされたくせ毛をセットして、


シャツの上2つのボタンをあけ、ネクタイをゆるくしめ、


ひじの下まで袖をまくり、制服ズボンは嫌味のない程度に腰ではく。



うーん。俺、割とイケてる方だと思うし、女子から嫌われてはいないと思うんだけどな。むしろ告白されたことも何回かあるのに。



柳井良一、高校2年生、いまだに彼女なし。



「いってきます」



ガッ、ガラガラと昔より音が鳴るようになった玄関ドアを開ける。


自転車の鍵をポケットから取り出した時。



ちょうど向かいの家からも、バタン、と扉が閉まる音が鳴った。



「あ、良ちゃん。おはよう」



このシーンは数えきれないほど経験してきた。



ゆっくり顔を上げる。


もちろんそこにいるのは、ふわりとした笑顔を向けてくるアリサ。



「ん、おはよ」



俺はクールに挨拶しておいたが、内心めちゃくちゃ動揺していた。



だってさぁ……



――『良ちゃん、大好き』



あんな妙な夢見たんだから仕方ないっしょ!!!



何となく目をそらせないでいると、


ローファーの音を鳴らし、アリサが近づいてきた。



「どうしたの? ぼーっとして」


「や、別に」


「ちょっと赤いよ。もしかして熱ある?」



心配そうな顔でアリサは俺に手を伸ばしてきた。



「……っ!」



その指が頬にふれてきた時、本当に体に熱が走る感覚がした。



振り払うように顔をそむけた。