進学校にいるから、志望大学調査の紙は何回も提出してきた。


ただ、もうすぐ高校3年生になる。


書いた内容がどんどん現実味を帯びてくる。



あたしは地元の国立大学を目指そうと思っていた。


成績的にも余裕だし、ここから通えるから。



「アリサは、本当はどうしたいの?」



お父さんはまだ仕事のため、今日はお母さんと2人での夕食。



良ちゃんの家――裕子さんから分けてもらった肉じゃがと、あたしが作った味噌汁。


それらを口にした後、お母さんはあたしを見つめてきた。



年齢の割には綺麗だと思うけど、


昔よりも白髪が増えて、目の下のくまも目立つようになった。



「え。前にも言った通り、U大にしようと思ってるよ」



大学を卒業した後は、親の会社を手伝おうと思っている。


漠然とモデルやメイク系の仕事への憧れはあるけど、どうしてもやりたい! という固い意志も勇気も持っていない。



「本当にそれでいいの? 大学生って最後の自由な時間じゃない。将来会社を手伝うって言ってくれた時はもちろん嬉しかった。アリサは本当に私たちの自慢の娘だと思った。お父さんもそう言ってる」


「……うん」


「でも、そうすると、この家で、この町だけで一生を終えることになる。それで後悔しない?」



「…………」



肉じゃがを口にしようとしたものの、自然とはしが止まった。