「……え」



駅ビル1階のフードコートで、アイス片手に進路の話をしていると、


ふと目に入ってしまった。



知らない女の子と良ちゃんが一緒にいる姿が。



制服から見て、同じ高校の子かな。


女の子は楽しそうに喋っていて、良ちゃんは相槌を打っている。



良ちゃんが他の女の子と関わる様子は今まで何回も見てきたけれど、


いつもより胸が騒いだ。



――あっ!



学生や買い物帰りの女性たちの隙間、あたしたちの目が合った。



嫌な鼓動がどくんと響き、


一瞬だけ、時間が止まったような気がした。



良ちゃんは、機嫌の悪そうな目をあたしに向けた後、


その女の子との会話に戻っていった。



「高川さん、どうしたの?」


「う、ううん。なんでもないよー」



まさか、あの女子って良ちゃんの彼女?



違うよね。彼女いないはずだし。


でも、高校は別だから、最新の良ちゃん事情を知らないだけかもしれない。



一緒にいた男の子に「あの、もしよかったら、今度一緒に勉強しない?」と誘われたけど、


軽くはぐらかしてから、あたしは家路についた。