エナさんに今日は家にご飯あるんで……と伝えると、
ファミレスではなくオシャレなダイニングバーに連れていかれた。
エナさんはカクテルを注文していた。もちろん俺はウーロン茶。
「良一くん。今日シフト長かったし疲れてる?」
せまいテーブル越し。じっと上目遣いで見つめられる俺。
いつもよりもエナさんの視線が熱い。お酒のせいだろうか。
「確かに……。知り合い来たんでちょっと疲れたかも」
「そっかぁ。あ~~可愛かったね~あの子。本当にただの幼なじみ? 絶対良一くんに気があるようにしか見えないよー」
エナさんは口を尖らせながら、少し枯れた低い声を出す。
濡れた赤い唇が、暗めの店内でつややかな光を放っている。
「…………」
脳内のコンピュータがウイィィンとうなり声をあげた。
こういう時はどうアンサーしたらいいんだ? 答えてくれ俺の知恵袋!
今日1日いろいろなことが詰め込まれたせいで、俺の頭はパンク寸前だった。
「ねぇ。良一くん……今日帰んなきゃダメなの?」
ただ、今のエナさんは、
バイトの後輩ではなく俺を男として見ているように思えた。

