カツヒコさんと仕事+雑談をしながら残りの時間をすごし、とうとう夜6時。
お客さんにコーヒーを渡し、さあ上がろう、とした頃。
「そうだ。聞こうと思ってたんだけど、もしかして柳井くん、もうエナられた?」
こそこそっとカツヒコさんに話しかけられた。
「はい? エナる?」
「柳井くんにだから話すけど、エナちゃんって肉食系じゃん? ここの男バイトとも何人か付き合ったことあるの。俺は丁重にお断りしたけど」
ん?
「だから、エナちゃんと関係を持つことを『エナる』って裏で言ってる。これ男だけの内緒の言葉ね」
んん?
そう言って、イケメン笑顔を浮かべるカツヒコさん。
「まあ。俺もさすがに『死んだお兄ちゃんに似てる』って言われて抱きつかれた時はグラッとしたわ。でも俺彼女いるからさ~」
んんん?
ものすごく何かが引っかかるぞ。
俺、知らなかった方がいいこと、今聞かされてる?
「……もしかして俺とカツヒコさんって生き別れの兄弟だったりしますか?」
「へ? 突然どうしたの?」
「や、冗談っす。何でもないっす。じゃあお先、失礼します」
とりあえずエナさんが待っているため、俺は急いでロッカールームに向かった。

