袋を傾け、茶色い豆たちをマシンに流し入れる。
しかし、バラバラと豆が落ちていく音が響く中。
何かが直接俺の心に話しかけてきた。
豆粒1『なーなー。どうせ俺らすぐに挽かれちゃうんだろ?』
豆粒2『だったら言わせてもらうよ。お前調子乗んなよ!』
豆粒3『美人な女はたいがい美人の女のことが嫌いなんだよ。さっきのはお前をめぐる争いじゃなくて、単なるプライドのぶつかり合いだからな!』
豆粒4『っていうかねーあんたもはっきりしなさいよ! エナさんのことが好きなの? それともアリサが好きなの?』
やめろ! せっかく仕事に集中してるのに商売道具のお前らが邪魔してくんな!
バタン、とうるさい豆たちを急いでマシンに閉じ込める。
……いや、お前らの言う通りだよ。
わかってるよ。俺もなんとかしなきゃいけないことくらい。
「ふぅ……」
仕方ない。いったん今の状況を整理しよう。
・今日の夜、家には誰もいない。俺は自由だ。
・アリサは俺の晩ご飯を作ろうとしている。
・エナさんは俺のバイト終わりを待つことになっている。
・アリサとエナさんは妙なライバル感を出しまくっている。
・アリサには彼氏がいる。エナさんはフリー。
・ただ、アリサは今日家で1人。俺のご飯を作るの楽しみにしているらしいから、今更いらないと伝えたら悲しむと思われる。
うわああああ。どうしたらいいんだ?

