騒がしい人たちがドリンクを受け取り、カウンターから去ってくれた頃。
最後にアリサがカフェラテを注文した。
「ありがとうございました。少々お待ちくださーい」
エスプレッソを抽出した後、ミルクをスチームで温める。
「良ちゃん。ごめんね内緒にしてて。良ちゃんバイト慣れてきてるって聞いたから、連れてきてもらっちゃった」
シュゴーッと泡がたつ音の隙間から、アリサの声が聞こえてきた。
「別にいいけど。お前、あいつらと知り合いなの?」
後ろ向きかつ、いろんな音が散乱しているため、
いつもよりボリューム大きめで返事をした。
聞くと、駿介人脈のおかげで、ちゃんみゆの姉がアリサの友達であることが判明したらしい。
さすがしょぼい地方都市。世間は狭い。
「それより。良ちゃん、ちゃんと仕事してるんだね」
「……ユージと同じこと言ってる」
「あはは。そうだね。でも、あたしも良ちゃんが真面目に働いてる姿想像できなかった……」
「あ、良一くん! それ私やるし、豆の補充お願いしていい?」
ミルクを温め終えた頃。
突然エナさんが俺たちの会話をさえぎってきた。
しかも苗字ではなく、なぜか名前呼びで。

