良ちゃんのお父さんが亡くなって数か月が経った。


葬式関連の行事が終わり、向かいの家――柳井さん一家は次第に落ち着きを取り戻していった。



「アリサちゃん、料理上手くなったんじゃない?」


「それは裕子さんをお手本にしてるからですよ~」


「あっはっは、しゃべりの方も上達してるなぁ」



今日はあたしの親の帰りが遅くなるから、良ちゃんの家で夜ご飯を食べる日。



裕子さんもおばあさんも、前と変わらないようにあたしを受け入れてくれる。


少しずつ、良ちゃんのお父さんの思い出話もできるようになったみたい。



ただ――



「……ただいま」


「あ、良ちゃん、おかえりー!」


「…………」



最近の良ちゃんは、あたしと目を合わせてくれないし、まともに会話もしてくれない。