「はぁ、はぁ……」
打ち付ける雨が、髪や制服を濡らしていき、全身が重い。
ここなら1人になれるだろうと思い、毎日通っている近所の公園に入った。
遊具がほとんど撤去された公園内。
街灯が、太い雨の線を冷たく照らし出していた。
ずっと親父に怒られながら生きてきた。
まさか、こんなに早く一生の別れを迎えるとは思っていなかった。
あんなに簡単に俺のことを認めるとは思っていなかった。
『お前はよく頑張っているよ』
そんなの、嘘だろ?
いっつも成長しないだの、すぐ気を抜くだの、そう言って、俺を攻めていたじゃないか。
面白くない。気にくわない。
今まで何のために、俺は勉強も部活も頑張っていたんだ?
生活態度も目をつけられない程度にして、髪型も伸ばしかけて怒られてすぐ切って。
親父は、ずっと俺に嘘をついていたのか?
本当は俺のことを認めていたのか?
もうわけがわかんねーよ。
容赦なく打ち付ける雨と、それに伴って冷えていく体だけが、今、確かなものだった。
しかし――
体に当たり続けていた雨粒が、急に途切れた。
「良ちゃん……」
上目で頭上を見る。
広がったピンク色によって、しずくがさえぎられていた。