わたしの彼氏は××××です。





「そして?どうして君はここに?」





颯ちゃんの声は低く、佐賀くんに鋭い睨みをきかせる。



それを見かねたわたしは、つい口を挟んでしまった。





「スマホを自分の席の引き出しに忘れたらしくて、教室に取りに戻ってきたの。それでたまたまわたしが見つけたから…」





先ほどまでスマホの入っていた窓際の机を指差した。





「なるほどね」





わたしの前に立った颯ちゃんは優しげな笑みをこちらに向けている。
でもわかる。



これは本当に笑っていない。



瞳の奥は冷えきっており、身震いするほど。



それでも佐賀くんに矛先が向かないように、わたしは話を続ける。





「だから颯ちゃんが戻ってくるまで話しながら待ってたの」




「すみません。俺てっきり小泉は坂崎を待ってるんだとばかり…」