綾香ちゃんの消え入りそうな声にわたしは首をかしげた。





「どうしたの?颯ちゃんも綾香ちゃんも何かあった?」



「たいしたことじゃないよ。美鈴は何も心配しなくていいんだよ」





颯ちゃんから優しい手つきで頭を撫でられ、安心感から綾香ちゃんの前だということも忘れ、されるがままになっていた。





「……さて。坂崎さん、ちょっとそこまでいいかな?」





颯ちゃんの低い声音に驚き、彼を見上げると、見つめるわたしに気づいたのか彼は優しい いつもの笑みを浮かべた。





「……はい」





綾香ちゃんは今まで見たことがないほどに怯えており、わたしは彼女に駆け寄った。