「うん。………明日になったんだ。(明日にしたんだけど)」



「そっか。でもごめんね。今日は綾香ちゃんと──」



「あっ、あたしなら気にしなくて大丈夫だよ!いつも一緒に帰ってるわけだし。三輪先輩と帰れる貴重な時間を大切にしなよ」



「あ、ありがと……」





綾香ちゃんは焦ったようにカバンを忙しく抱え、教室の後ろのドアへと足を走らせる。



しかし──





「待ちなよ。坂崎さんに少し用があるんだ」





颯ちゃんが綾香ちゃんを呼び止めた。



振り返った綾香ちゃんの表情は心なしか強ばっている。





「……え」