──ピロン
HRが始まる2分前、この時間には滅多にこないLINEを告げる着信が耳に届いた。
机の下にスマホを隠しながらそれを開くと、表示された名前に思わず笑みが零れた。
「もしかして、三輪先輩から?」
「うん!」
綾香ちゃんは届いた内容が気になるのか、机から身を乗り出しスマホの画面に目を凝らす。
《教室まで無事につけた?》
簡単な内容だが、わたしを心配していることに嬉しくなる。
《大丈夫だよ》
後ろから綾香ちゃんが舌打ちをしながら母親かよ、と突っ込んでいたことは無視してそれに返信すると、すぐに既読がついた。

