大きな一眼レフカメラのせいで、わたしを見下ろしている人の顔が隠れていて見えない。 …でも、こんなことするのは彼しかいないのだ。 「──颯ちゃん」 朝から何をしてるのか。 颯ちゃんこと、三輪颯太 (みわ そうた) はわたしの低い声から瞬時にこちらの機嫌の悪さを察知したのか、カメラを下にさげる。