「へ?颯ちゃん?……たしかに颯ちゃんからは、周りは全員美鈴の敵とはよく言われるけど……。それがどうかしたの?」
手を離した綾香ちゃんの顔を見やると、口をへの字に曲げこちらに哀れみの目を向けていた。
「美鈴のネガティブの原因はそれか……」
「あ!でもでも、“自分だけは美鈴のこと可愛いって思うよ” って言ってくれるから別に悲しくはないんだよ?」
顔が赤くなるのを感じながら否定すると、綾香ちゃんは綺麗な顔を更に崩した。
「あんた完全に三輪先輩に転がされてるじゃん」
小さく呟いた声はわたしの耳には届かなかった。

