「……御津路惟(みと ろい)」 「え?」 「俺の名前。妃莉、ずっと緊張してて、知らねーんだろ」 「う……」 そうなのだ。 クラスに馴染めるかとか、変な返事をしないかとか、彼へのお礼のこととかで、あまり耳に残る話はなかった。 だから、知らない───なんて、ただの言い訳にしか過ぎないんだけど。 わざわざスマホのメモ欄に、【御津路惟】と打ち出して、漢字を教えてくれた御津くん。 やっぱり、優しいんだ。