地元にいたころこういう風なものもまったくなかったし。
星那を好きってのはあったけど、星那はあたしなんか眼中になかったし。
おかげであたしは彼氏いない歴が年齢だよ。



「瑛梨奈ちゃん」



名前を呼ばれて顔を上げる。



「る、いくん…」



びっくりしてうまく話せない。



「クリスマスごめんね」



塁くんの顔はとても苦しそうで。
なにも言うことはできなかった。
そもそも何かを言おうなんて気はまったくなかったんだけど。



「え!?」


「急にどしたんだよ。架純」



良基が怪訝な顔になる。




「君…」



塁くんが架純をみて目を見開いている。



「え?知り合いですか?」


「ちょっとな…」



塁くんがそのままあたしたちの席から離れる。



さっき一瞬塁くんの顔が。
架純を見て変わったのをあたしは見逃さなかった。

ふたりに何かあったのかな。
気になりすぎて。
どうしたらいいのかわかんない。