彼女と出逢ったのは大学生の時だった。
若者が集まる都心の中心部。駅から徒歩15分。
バスは大学前で停車して交通の便も抜群にいい人気の大学。
正門を抜けると季節によって色を変える緑豊かなキャンパス。全学部の生徒数は約7千人。
そんな広い校舎で俺たちは出逢った。
その日も俺は講義を終えて昼寝ができる場所へと移動。最近のお気に入りはキャンパス内にある図書館の2階のテラス。
そこは日当たりがよくて、おまけにベンチまである。たまにひとりで占領するなという他の生徒の視線を感じる時があるけど、こういうのは早い者勝ちだ。
太陽の有り難みを感じながら読みかけの本を胸に乗せてウトウト。その時、昼寝の邪魔でしかない声が下から聞こえてきた。
「ねえ、俺らのサークルに入ってよ。すげー楽しいからさ」
金髪にピアス。サークルと称して学校の会費で泊まり掛けの合宿に行っては男女の出逢いを求めている奴ら。
「ご、ごめんなさい……。サークルに入る予定はないんです」
ひ弱な声。色んなタイプがいる大学で、多少強い言葉を使わないと押し負けてしまう。
「見学でもいいよ!大学なんてさ勉強するだけのところじゃないじゃん?だって4年もあるんだよ?楽しもうよ!」と金髪男が女の子の手を掴む。
「や、やめてください。私は本当に……」
ほら、押し負けてる。
学部も違うし、知らない顔だし、俺には関係ない。でも……。
「ゴホンゴホンッ」
2階のテラスから生首のように顔だけを出して、わざとらしく咳払いをした。



