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俺は次の日。私立明成女子高校へと向かった。
学力は平均、風紀もそこそこ。良いところを上げるとするなら、まあ……制服が可愛いってことぐらい。
授業を終えた校舎からは次々と生徒たちが出てきて、俺は正門の前にあるガードレールに寄りかかって椎名雪乃を待っていた。
それにしても、この不審者を見るような目はどうにかならないのか。
そりゃ、いつも着ているヨレヨレのTシャツにグレーのスウェット姿じゃ「ザ部屋着!」「ちょーダセー」みたいに思われてんだろうな。
いや、耳打ちしてるし絶対言ってんだろ。
はあ、嫌だ嫌だ。女子高生ってマジこえー……あ。
そんな生徒たちに交ざって、椎名雪乃が暗い顔をして歩いてきた。
「おい」
俺が腕を掴むと、ますます変質者が現れたって雰囲気に。
「な、なんですか?」
そして、椎名雪乃のこの目。
俺は大騒ぎにならない内にポケットから黒い絵馬を取り出して、顔の前でわざと揺らした。
「あ……」と声を出したあと、すぐに不審者という俺に向けられた目は消えた。
「とりあえず場所を移動しようか」
俺はニコリと営業スマイルで微笑んだ。



