心ときみの物語


***


俺は次の日。私立明成女子高校へと向かった。

学力は平均、風紀もそこそこ。良いところを上げるとするなら、まあ……制服が可愛いってことぐらい。

授業を終えた校舎からは次々と生徒たちが出てきて、俺は正門の前にあるガードレールに寄りかかって椎名雪乃を待っていた。

それにしても、この不審者を見るような目はどうにかならないのか。


そりゃ、いつも着ているヨレヨレのTシャツにグレーのスウェット姿じゃ「ザ部屋着!」「ちょーダセー」みたいに思われてんだろうな。

いや、耳打ちしてるし絶対言ってんだろ。

はあ、嫌だ嫌だ。女子高生ってマジこえー……あ。


そんな生徒たちに交ざって、椎名雪乃が暗い顔をして歩いてきた。

「おい」

俺が腕を掴むと、ますます変質者が現れたって雰囲気に。


「な、なんですか?」

そして、椎名雪乃のこの目。

俺は大騒ぎにならない内にポケットから黒い絵馬を取り出して、顔の前でわざと揺らした。

「あ……」と声を出したあと、すぐに不審者という俺に向けられた目は消えた。


「とりあえず場所を移動しようか」

俺はニコリと営業スマイルで微笑んだ。