心ときみの物語


そのあとバタバタと家の中が騒がしくなって、
どうやら進の家族が帰ってきたようだ。

「お父さんただいま」「おじいちゃんただいま」と、自分の娘から孫にまで囲まれて。進はもうひとりぼっちではない。

「あれ、お父さん寝ちゃってる」

そう言って娘が進の顔を覗いた。

「なんかおじいちゃん幸せそうな顔してる。いい夢でも見てるのかなあ?」

「ふふ、そうかもね。あ、おじいちゃんとの約束忘れてない?」

「忘れてないよ!今からやるところ」

進の孫は縁側に置かれていたサンダルを履いて、慣れた手つきでホースを用意した。そして蛇口をひねると、そこからアーチを描くように水が空へと噴射した。


「毎日の水やりがおじいちゃんとの約束だもんね?」

「うん!おじいちゃんの大切なものだもん!」

それは庭を埋めつくすほどの白い花。小さな花が寄り添うようにまとまって。まるで鞠のように風に吹かれていた。


小手鞠の花言葉は〝友情〟

その強く結ばれた縁はこれからも永遠に続いていく。